ともに、明日の習志野へ
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プロフィール

地域社会のために働きたい、恩返しをしたい――
私の想いと行動には、生い立ちや今までの社会人経験が大きく影響していると感じます。その経緯について自分で書くとつい堅くなってしまうので、知り合いにお願いしてインタビュー形式でまとめてもらいました。
第3回(ひとまず最終回です)は「ともに、明日の習志野へ」編です。

第3回: ともに、明日の習志野へ

——国際援助の仕事に20年間携わって来た大宮さんが、なぜ習志野市の市議会議員選挙に挑戦しようと思ったのでしょうか。前回(記事はこちら)は、ひとりの習志野市民としての現場感覚を大事にして豊かな未来に向けたワクワクする街づくりをしたい、とおっしゃっていました。埼玉県所沢市および東京都東村山市で育った大宮さんが習志野市に住み始めた経緯から教えてください。

JICA職員としてアフガニスタンに駐在していたとき、仕事を通じて妻と知り合いました。彼女は習志野市で育ち、実家は今でも秋津にあります。私たちは2011年に結婚し、13年に長男が生まれました。その頃は船橋市にある社宅に住んでいたのですが、距離の近さもあって子どもを連れて義父母に会いにちょくちょく来ていたんです。

そこで知ったのが秋津小学校にある「秋津コミュニティ」です。学校は子どもと保護者と教員だけではなく、地域にひらかれた存在であるべきだ、という考え方のもと、住民の方々が遊具やビオトープ、田んぼを作ったり、工作教室や国語教室が開かれたりしています。素晴らしいコミュニティです。私も息子をこの地域で育てたいと思い、妻の実家のそばに引っ越してきました。2015年10月のことです。

旧秋津幼稚園の園庭にあるビオトープは子どもたちの探究心をくすぐる素敵な場所です

谷津干潟、秋津公園、香澄公園、そして、茜浜、私の住む地域の周りには水辺や公園が多く、また、子どもたちを地域住民が見守る雰囲気もあります。子育てがしやすい環境です。

——お子さんだけでなく大宮さんも大いに習志野ライフを楽しんでいるようですね。

はい。最初にハマったのは「ばか面(めん)踊り」です。習志野市の南部は埋め立てる前は海だったので、昔は漁師をしていた住民の方もいます。ばか面踊りは漁師さんたちの生活に根差した踊りです。大漁の喜びや不漁の怒りなどを面と踊りで表現します。元漁師さんである師匠の踊りは人間国宝といってもおかしくないぐらい素敵です。先生の芸を少しでも継承したいと思っています。

秋津まつりのステージで踊りました

ばか面踊りの他には、秋津の町内会が中核となって開催する「秋津まつり」に魅了されました。出店も含めて住民が自ら作り上げる秋祭りで、外の業者などは入って来ません。小学生の踊りや一発芸なども披露されて、すごくいい雰囲気なんです。

——そんな大宮さんが市政に失望した出来事があったそうですね。

はい。長男がお世話になった秋津幼稚園が「子どもが減って来たから」という理由だけで、突如2017年に閉園が決まったことです。地域に密着して、住民から親しまれて愛されてきた幼稚園でした。

住民の声をもっと聞いて説明を尽くしてから判断すべきだったと思うのです。市との話し合いの場を求める請願運動では3,000筆以上が集まりましたが、議会で否決されてしまいました。市役所には「若い子育て世代を呼び込む施策を考えているのか」と質問しましたが、ほぼゼロ回答。

京葉線新習志野駅から東京駅まで30分ちょっとで行ける通勤圏内で、成田空港にも車で楽にアクセスできます。働き盛りの子育て世代を呼び込むには有利な立地であるにもかかわらず、地域が大切にして来た幼稚園を安易に閉じてしまう――。

市政に対して驚きと怒りと悲しみを覚えるとともに、「自分たちの手でこの地域を良くしたい」という想いが強まりました。町内会の役員を務めたり、ゴミ拾いや交通安全のボランティアに積極的に参加したりするようになったのも秋津幼稚園の閉園がきっかけです。「ここは本当にいいところだよ」と子どもたちに誇らしく引き継げるような地域でありたいです。

——そのためには市政も変える必要がある、と。

給与明細を見ると、少なくない金額の住民税を毎月払っていることがわかります。行政サービスとは税金の使い道に他なりません。そこに私たち住民の想いと願いが本当にのっているでしょうか?

2019年の習志野市議会議員選挙は投票率が43.85%でした。平均的な地方議会の投票率よりは高い数字ですが、投票しなかった有権者が半分以上もいることがわかります。でも、私たちは政治に無関心でいることができても無関係になれません。政治は私たちの生活に様々な関係があるのです。

主権者である自分たちの声をきちんと届けないと、安易な行政を勝手にやられてしまいます。市政の良し悪しは私たち住民の生活に直結しているのです。秋津幼稚園の閉園のように……。いい政治をやらずに後悔するなんてもったいない、同じような想いは二度したくない、と私は決意しました。

——市議会議員にどんな役割と権限があるのかがよくわかりません。例えば、議会が動けば秋津幼稚園の閉園は避けられたのでしょうか。

それは確実に「避けられた」と言えます。市立幼稚園の配置方針の見直しを議決すれば、市役所はその方針に従って行政を執行するからです。習志野議会は3月、6月、9月、12月に開かれています。議員は市民の声なき声に耳を傾けて、様々な課題の解決策などを議案に反映し、話し合い、議決として市政の方向性を決めることができるのです。

地域に愛された幼稚園でした

もちろん、議会が開かれていない時期も市役所の担当部局に質問し、見解を求めることができます。その回答を住民と共有することも議員の役割です。

市民の代表である議員の質問を市役所が無視することはまずありませんが、「善処します」とか 「前向きに検討します」などとあいまいな答え方をするでしょう(笑)。では、何をどのように検討してどういう結論を出したのか。時間をかけてでも粘り強く話し合って少しでもよい解決策をつくっていくことが重要です。

代議士とは、「主権者である市民の代わりに議論する人」という意味だと考えています。署名運動や平和的なデモで市役所に直接訴えかける手もありますが、それには時間もエネルギーも必要です。自分たちの声をもっと簡単に市政に届けて変えていく仕組みとして議員が存在しています。議員は私たち住民の代表であり、それ以上でも以下でもないのです。議員をうまく使うことに遠慮する必要は全くありません。

——議員の役割についてもう少し教えてください。地方政治で選挙を経た政治家とは市長というイメージです。その仕事内容も比較的わかりやすい。でも、市議会議員は「選挙のときだけ頑張る人たち」という印象しかありません(笑)。

地方自治体では、首長(習志野市の場合は市長)と議会議員をともに住民が直接選挙で選びます。これを二元代表制と言います。ちなみに国の制度は違います。国民に選ばれた議員による国会が内閣総理大臣を指名。総理大臣が内閣を組織するという仕組みです。

二元代表制の特徴は、首長と議会がともに住民を代表するところにあります。首長と議会が良き緊張関係を保ちながら、対等の機関として地方自治体の運営に関する基本的な方針を決定(議決)し、その執行を監視するのです。

こうした議員の仕事は、「住民の声を届ける」、「声を形にする」、「行政を監視する」、そして「ともに夢を描く」の4つに分けられると私は理解しています。声を届けることと行政を監視することについてはさきほどお話しました。「形にする」ことの典型は条例の制定です。住民の要望等を踏まえて、その地域に必要な条例を検討して制定していく役割があります。

——「ともに夢を描く」とは、具体的にはどういうことでしょうか。

例えば、東京湾に臨む好立地である茜浜緑地をもっと魅力的な場所にすることです。今あるのは芝生ぐらいですよね。カフェもなければBBQ場もなく、釣り用の桟橋もありません。新習志野駅からこの緑地に至るエリアは準工業地域に指定されていて、工場や倉庫もある一方で大学やプールもあるのが現状です。はっきり言って無計画。だから、人が集まらない。

このエリアは「海と教育とスポーツの町」にすべきだと私は考えます。工場や倉庫には長期計画を設けて徐々に移転していただき、教育施設とスポーツ施設を中心として一部には美しい住宅地もある。そんな明るい臨海エリアにすれば、若い世代も大いに呼び込めるはずです。

高度経済成長期の地方政治家は利益配分の調整係で済みました。上下水道ができ、道路が舗装され、図書館ができて……。優先順位をつけなくても、日々の暮らしがどんどん豊かに便利になっていくことを住民は実感できたからです。

今の時代は違います。この地域でどんな暮らしをしていきたいのか、道路の補修よりも優先す るべきことがあるのではないか、などを私たち住民が主体的に考えて実行しなければなりません。その媒介となるのが議員の役割なのです。

——少子化で人口が減れば税収も減り、行政サービスが手薄になるのは避けられません。「所得の再分配」どころか「痛みの再分配」の時代ですね。

でも、マイナス思考では人は元気が出ません。高成長は難しくても、ワクワクしたいじゃないですか。私はサッカーファンなので、最近は日本サッカー協会の「夢があるから強くなる」と「新しい景色を」という言葉にワクワクさせてもらっています。

私は習志野ファンでもあります。日本サッカー協会を見習って、みんなの「こんな町に住みたい!」という情熱に火をつけられるような熱源になりたい。熱があってこそ行動できるからです。弱い立場にいる住民の声にも耳を傾け、やりたいことがあっても逡巡している人と一緒に肩を組み、ワクワクするような夢を描いて実現していきたいと思っています。

——2023年4月の選挙で大宮さんが当選したとします。でも、30人もいる議員の1人に過ぎず、所属政党もない新人議員です。本当に「ワクワクするような夢を描いて実現」できるのでしょうか。

民主主義ですから最後は多数決で決まります。それまでに同じ想いや志を持つ仲間を着実に増やすしかありません。もちろん、政治家ではない仲間も必要です。反対意見を持つ人とはじっくりと議論します。

ただし、議員は市民の代表であり、年齢や当選回数などは関係ありません。市議会議員は市を良くするためだけに行動するべきなのに、その動機が次第に崩れてしまうのはなぜでしょうか。それは、政治家を生業(なりわい)にしている人が多すぎるからです。政治家という立場にしがみつこうとすると、本来の役割を忘れて、次第に自分の利益を考えるようになります。権力は必ず腐敗するのです。

例えば、議員定数の削減。習志野市政で何度も検討されてきましたが、そのたびに議会で否決されてきました。政治家を生業にしている人が多数派だったからに他なりません。

3児の父、ワクワクする街づくりに挑戦!

私はここで明言します。当選して習志野市議会議員になれたとしても、最長で2期8年で区切りをつける、と。逆に言えば、やるべきことは8年間でやり切って結果を出します。さきほどお話した「海と教育とスポーツの町」構想も4年もあればマスタープランを描けますし、次の4年で初期段階は着手できるでしょう。それから先は他の人でも実現できるようなプランを作るべきなのです。

私が今までのキャリアを捨てて市議会議員を目指すのは、ひとりの住民として愛する地域をもっと良くしたいからです。子どもたちに胸を張ってバトンタッチできるような地域にするためです。みんなで、ワクワクするような習志野の将来を描き、実現しましょう。

ともに、明日の習志野へ!

(おわり)