パイプオルガン再設置問題で考えた文化行政のあり方

13日(金)、「習志野文化ホールへのパイプオルガン再設置を求める意見書」は賛成多数(賛成18、反対9)で可決されましたが、この問題に向き合う中で、改めて文化行政のあり方を考えました。

13日(金)の採決前に議場で行った討論でも触れましたが、文化行政は、行政の中でも難しい分野です。なぜなら、文化行政は、インフラ事業に使う内部収益率といった定量的な基準によって事業効果を測りにくいからです。文化は人の心に寄り添うものであり、その意義は文化を楽しむ人々によって評価されるからです。

この難しい文化行政を進める際に不可欠な点は2つあります。1つは、市または首長から文化行政に対する大義を示すこと、理念と言ってもよいかと思います。市として文化をこういう考え方で捉えていて、それゆえにこの投資をして文化行政を進めていく、という大義が不可欠です。

2つ目は、文化を楽しみ、支える住民からの文化行政への支持です。民意ともいえます。住民、有権者がまったく支持しない場合、文化行政を前に進めることは非常に難しいものとなります。

大義と民意、この2つがなければ、文化行政は困難に直面します。

そして、今回のパイプオルガン再設置の可否を問うと打ち出したクラウドファンディングには、残念ながら大義がありません。

こういう大義で再設置をしたいから、または、こういう大義で再設置はしない、という市としての説明があって、その次に、市の方針に対する民意を問うのであれば、広く民意を受けとめることができるやり方を示すことが必要です。民意を示すためには2,000円以上のお金をクラウドファンディングで払う必要があるというやり方は民意の問い方として最悪の部類に入ります。

さらに、民意を問うた後に財源が足りずに市民から寄付を募るということであれば、市としての財政状況や維持管理費等を明確に説明したうえで、広く、誰でも参加しやすい形で寄付を募ればよいと考えます。今回は、民意を問うことと寄付を募ることをクラウドファンディングという形でごちゃまぜにしてしまったことが大きな反省点です。

今回の対応は残念ながら、大義、民意、予算といういずれの点からも不十分なもので、このままでは習志野市の文化行政に大きな傷が出てしまう、そのように強く危惧しています。

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