「Z世代のアメリカ」を読みました

大学同期で、同志社大学准教授の三牧氏の「Z世代のアメリカ」(NHK出版新書、2023年)を読みました。

1997年から2012年の間に生まれたZ世代、現在アメリカの人口3.3億人の約2割を占めているそうです。このZ世代は他世代とは異なり、アメリカの抱える矛盾や弱さを直視して受けとめ、そして、どう社会を変えようとしているのか、という点について、テロとの戦い、ジェンダー、中絶等といった様々なテーマで分析した本でした。

例えば、アメリカでは、国内の人種問題や銃問題に大きく関心が集まる一方で、アメリカが国外で行ってきている無謀な軍事介入、パレスチナに非人道的な行為を続けるイスラエルを強力に支持している状況といったことには関心が高まらない、という点に大きな矛盾があると指摘しています。

このような構図は日本にも多くあると思います。

例えば、国内における自衛隊の災害対応は高く評価しつつも、国外での平和維持活動については憲法との整合性等に照らして曖昧な整理を続けていること。ウクライナからの避難民には積極的に対応し、アフガニスタンやシリアといった国からの避難民には冷たい対応を続けていること。日本にも多くのダブルスタンダードがあります。

「矛盾やダブルスタンダードが即座に悪い!」と主張したいわけではありません。現実は複雑であり、目指す理想と現実とのずれや矛盾があるのは確かです。しかし、そのような矛盾があることから目を背けてはいけないと考えます。矛盾やダブルスタンダードを直視し、そして、どう改善できるか具体的に考える姿勢が必要です。理想や理念だけを見て独善的になってしまってはいけません。

アメリカは、自由や民主主義といった理念を追求する国で、それ故に、自らの抱える矛盾やダブルスタンダードから目を背ける傾向にあると思います。Z世代がこの傾向を克服し、アメリカの弱みや課題も受け入れたうえで改善できるかどうか、アメリカの未来に直結すると思います。

アメリカに興味がない方にとっても、社会や政治のあり方について考えさせられるお勧めの本です。避暑をしながら読んでみてはいかがでしょうか?

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