東ティモールで学んだ「挑戦の尊さ」

紛争からの復興過程にあった東ティモールで、東ティモール大学工学部の支援を担当していた時期がありました。私が日本から出張で訪れて東ティモール側の先生方と話していると、先生方の学力がだいぶ不足していることがわかってきました。紛争が長く続いていたので仕方ありません。

日本側が大学再建のために「まずは先生方の学力調査が必要」と提起したら、先方はプライドが傷つけられたのか、強く反発しました。20代から50代までの教員の方々がいましたが、今までの人生を否定されたような思いになったのでしょう。私たちは調査の必要性や意義を丁寧に、そして必死に説明しましたが、調査当日は多くの方が欠席するだろうという予想とともに調査会場で待っていました。

すると、、、、ほとんど全員の先生が来てくださって基礎学力を測るテストを受けてくださったのです。この瞬間、本当に感動し、涙が出そうになりました。自分たちのプライドを横に置いて、大学再建のために挑戦しようとする東ティモールの先生方の想い、心に響きました。大人が今までの人生で築いてきたプライドや価値観といったものを横に置いて、新しく挑戦することの尊さを学びました。私にとって一生忘れられない瞬間です。今でも思い出すと胸が熱くなります。そして、東ティモールの先生方への感謝を忘れてはならないと思います。

その後、私は担当から異動となりましたが、日本の支援は連綿と続き、東ティモール大学工学部の強化がなされてきています。いつの日か、東ティモールを再訪し、立派になった大学を歩いてみたいものです。

 

 

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