途上国勤務の経験:予想し、備え、なるべく慌てない

20代でアフガニスタン、30代でインドネシアという国で勤務をしました。どちらの国でも様々な経験をして「現場力」のような力を養うことができました。

その一つは、安全対策という面で、「予想し、備え、なるべく慌てない」という力です。

アフガニスタンでは、テロ攻撃が頻発する中で生活・仕事をしていたので、まさに「何が起こるかわからない」という環境でした。予定していた会議の場所付近でテロ攻撃が発生して会議中止、夜間にロケット弾攻撃ですぐさま起床して待機、といったようなことは日常茶飯事でした。

その中で、常に最悪の事態を想定し、その事態への備えをできる限りして、その事態が発生した場合にはなるべく慌てない、というノウハウを積んできました。

例えば、日中のテロ攻撃に対しては、速やかにその攻撃に関する情報を収集し、並行して関係者の安否確認を実施、そして、情報収集の結果で攻撃が更に続くと見込まれる場合にはその対処(行動制限)、更なる悪化の場合には国外退避の要否の判断という流れを想定し、必要な備え(連絡手段の複線化、病院の確保、退避ルートの確保等)をしておきました。

予想と備えを積み重ねていくことで、実際に事態が発生した場合には、ある程度、慌てずに動くことができました。

ここで、ポイントは、ある程度、というところです。

有事の際に、人間ですから、完全に冷静になることは難しいです。テロ攻撃の音や振動というのは肉体的にも動揺します。心理的にはもっと影響がありますので、冷静にいることは不可能です。一方、まったく予想や備えをしていなかったらパニック状態になり、不用意な行動をして更に危険な事態に陥ることも容易に想像がつきます。

アフガニスタンにいた際には、この経験、いったい何に活かせるのかと思っていましたが、その後の仕事、そして、今の仕事にも十分活かせています。何事も、場数を踏む、経験を増やすことが大事ですが、アフガニスタンでの経験は、ある意味、私にとって宝のような経験です。

 

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