習志野市議会は、今、来年度予算の審議を行っているところです。来週は予算委員会が開催されて、予算に関する詳細な質疑が行われる予定です。
私は、予算に対しては、個別事業の是非よりも、全体としての重点やバランス、周辺環境等を総合的に評価して賛否を決めるもの、と考えています。しかし、個別事業で明らかにおかしなものがあれば、その妥当性を精査し、そして、妥当な修正を提案する必要があります。
私は、今回の予算案においては、秋津サッカー場の人工芝化という事業(予算額は4億762万7千円)に強く反対し、予算案全体に対しても反対の姿勢で来週からの予算委員会に臨むことにしました。
私が、秋津サッカー場の人工芝化に反対する理由はたくさんあるのですが、財務の点が一番大きな反対理由です。
習志野市は、工事費高騰によってJR津田沼駅南口(習志野市が「表玄関」と称している場所)の再開発が遅延する一大事となっています。市の負担額は当初140億円とされていましたが、今の時点で195億円まで膨らむと試算されています。遅延によって計画が見直される頃には更に高額になっているのではないでしょうか。
また、工事費高騰は今後も続く公共建築物再生(学校の建て替え、清掃工場の建て替え等)にも大きな影響を及ぼします。生活に必要な公共建築物の再生すら予定どおり進むのか不安が高まります。このような「財政的な有事」において、必要性も緊急性も全く高くない人工芝化に4億円以上の予算をかける必要は皆無です。市の一大事に、不要不急の事業を行う妥当性は全くありません。
更に、市から示された30年間の収支比較(人工芝と天然芝)を見て、以下のとおり、その費用対効果が相当低いことがわかりました。30年間でわずか915万3千円、年にすると約30万5千円です。
【30年間の収支比較(注:市側の説明内容)】
【支出】30年間で天然芝の方が8,879万7千円、安価になる見込み
(1)人工芝(年347日稼働):初期工事費407,627千円、維持管理費(30年間)34,200千円、張替工事費(30年間で2回)228,800円で、合計670,627千円(約6.7億円)
(2)天然芝(年150日稼働):初期工事費0円、維持管理費(30年間)533,430千円、張替工事費(30年間で1回)48,400千円で、合計581,830千円(約5.8億円)
【収入】30年間で人工芝の方が9,795万円、収入が多くなる見込み
(1)人工芝(年347日稼働):30年で203,000千円(年平均7,000千円)
(2)天然芝(年150日稼働):30年で105,050千円(年平均3,561千円)
さらに、上記の収入ですが、人工芝は天然芝に比して倍近い収入を得る試算となっていますが、この試算も私は妥当なものか懸念しています。
なぜなら、秋津サッカー場の稼働率(利用の多い土日祝日の稼働率)と年間利用収入は、
2022年度:稼働率・74.5%、収入・約545万円
2023年度:稼働率・62.6%、収入・約356万円
2024年度上半期:稼働率・62.7%、収入・286万円(単純に倍にしたら年で572万円)
ということで、直近2年半で、稼働率は平均66.6%、収入は平均約491万円となります。この数字を踏まえれば、上記のとおり、天然芝に比して2倍近い収入を人工芝は得ることができるのでしょうか。
利用の多い休日は、天然芝の今でも既に70%近い稼働率、しかも、周辺のスポーツ施設も稼働率(休日)は70%~80%という状況です。人工芝にして、平日夜と休日の追加稼働が見込まれるとしても、天然芝に比して収入は2倍になるのでしょうか?私は、かなり楽観的な積算だと捉えています。
市側は、人工芝化の理由は、「利用の拡大」、「維持管理費の削減」、という2点を挙げていますが、上述のとおり、維持管理費の削減についてはかなり疑わしいと捉えています。細かく指摘すれば、「収支比較」では上述のとおり厳しい数字が出たために、「維持管理費」のみに絞って費用の差異を示したのではないかと推察しています。
長くなりましたので、利用の拡大という点については次回に紹介します。
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